会社がない!

目が覚めたら、会社がなくなっていた。その世界は、幸せか不幸せか?

驚愕の労働時間

「ちょっと訊いてみたいんだけど、アタナの考える楽して稼げる仕事って何?」と妻は言った。

 

「そ、それは…」

ストレートに訊かれると、返答に困る質問だ。

私が勘ぐるカラダを売って稼ぐ仕事をしていると言えないし、もし妻と長女が真っ当な仕事で労働時間に見合わぬ収入を稼げているとなれば、それは私たちサラリーマンが目指す非常に労働効率のよい仕事を彼女らがしていることになるからだ。

 

窮地に陥った私は、とっさに思いついた質問を妻に投げた。

「お、お前、一日何時間働いているんだ?」

 

「4時間よ」と妻はさらりと答えた。

 

「よ、4時間…」

想定外の労働時間に私は仰天した。

記憶にある近所の工場で働く妻のパート勤務の労働時間は、6時間であった。

それより短い労働時間で、どうやって失業した私の稼ぎの補填ができるのだろうか…。

 

「お、オマエはどうなんだ?」

私は妻の背後で怯えた表情を浮かべる長女に訊いた。

 

「わ、私も同じよ…」

 

「そ、それでやっていかれるのか…」

目眩がするほどの不安に襲われ、私は妻に訊く。

 

「もちろん」

あっけらかんとした口調で妻は答えた。

 

「そ、そんなわけないだろ!」

私の喉から、また荒々しい声が出た。

妻と長女がいかがわしい仕事で収入を得ているという疑いがますます強まった。

 

前へ

次へ

あらすじを読む

最初から読む