会社がない!

目が覚めたら、会社がなくなっていた。その世界は、幸せか不幸せか?

意味わかんない

「意味わかんない」

間髪入れず、長女が横から口を挟んだ。

 

「な、なんだぁ、親にむかってその言い草は!」

猛烈に腹が立って、私は長女に咆哮をぶつけた。

 

「もう、いい加減にして!」

妻は長女を庇うように、両手を大きく広げて長女の前に立った。

 

「そういうようにオマエが甘やかすから、コイツは親を馬鹿にした態度をとるんだ」

私は首を伸ばして、妻の背後に隠れている長女に威嚇の視線を射つづける。

 

「何も、おかしなこと言ってないじゃない」

妻は私の顔にあわせて顔を傾げ、その視線をも遮る。

 

「言ったじゃないか」

 

「言ったって、何を?」

 

「意味わかんない、ってことさ」

 

「ああ、あなたが楽して稼ぐ仕事に、ろくなものがないと言ったことに対して」

 

「き、決まってるじゃないか」

争論すら認識できていない妻に呆れて、私はため息をついた。

意味わかんない、って言いたいのは、こっちのほうだ。

 

「でもそれは、私も意味がわからないわ」

 

「な、なんだと…」

娘を庇うために調子を合わせいるのか、本当にそう思っているのか、妻の真意がつかめず、私は二の句が継げなかった。

 

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