会社がない!

目が覚めたら、会社がなくなっていた。その世界は、幸せか不幸せか?

夜のお仕事?

妻は、近所の食品工場でパート勤務(週5日、1日6時間労働)をしている。

長女は、洗濯物ひとつ干すのすら重労働だと抵抗するほどの仕事嫌いなので(なぜか今日は様子が違うが)、アルバイトの経験は一度もない。

 

その二人が仕事で明朝の朝食をつくれないから、夕飯時の今、つくっているという。

 

それにしても、朝食をつくる余裕もないほど早朝勤務の仕事って何だ?

新聞配達?

コンビニ?

それとも、いま勤めている食品工場で早朝勤務をすることになったのか?

 

いや、待てよ。

朝食をつくれないのは、深夜の仕事で朝起きられないからという理由もありうる。

そんな時分にする仕事って…。

 

長女が「私も仕事」と、恐る恐る手をあげた光景が脳裏によみがえる。

 

まさか、いかがわしい仕事をしているんじゃないだろうなぁ…。

夜の繁華街を腰を振りながら歩く二人の姿を想像すると、私は血の気が引いた。

 

いずれにしても、私が病で働けなくなったから、家計が圧迫され、二人は夜も働かなければならなくなったのだ。

 

「迷惑かけて、ごめん」

私は申し訳ない気持ちでいっぱいになって、二人に向かって頭を下げた。

 

すると、妻は戸惑った表情で長女と顔を見合わせてから、「迷惑? 何が?」と言った。

 

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