会社がない!

目が覚めたら、会社がなくなっていた。その世界は、幸せか不幸せか?

演技の厳しさ

白い天井を見つめ、5分ほど、思いついたふたつの戦略のどちらがいいか迷う。

が、結局どちらを選んでも妻から私がおかしくなっていると思われるのは免れないだろう。 

ならば、頭がおかしくなったふりをして、いま置かれた社会のことを学び、社会復帰を目指すのが近道に違いない。

そう結論するに至る。

 

覚悟が決まると、急に腹が減ってきた。

 

枕元の時計は、午後4時53分を指している。

驚天動地の出来事のせいで、今朝から何も食べていない。

 

夕食は何時になるのだろう?

 

休日の夕食の時刻は、いつも午後5時30分頃。

まだ日の沈まぬうちに一風呂あびて、妻や子供の笑顔を見ながら晩酌するのは、平日では味わえぬ喜びだ。

 

今は病気療養中ということなので、夕食時刻は休日と同じになるだろう。

 

憂鬱を紛らすためのアルコールがいつも以上に欲しいところだが、病人にそのご褒美は与えられるはずもない。

病人を演じることの厳しさを早くも感じた。

 

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