会社がない!

目が覚めたら、会社がなくなっていた。その世界は、幸せか不幸せか?

迷う「彼」の知り方

外の世界を変えようがないのなら、残された道はひとつしかない。 

 

その道とは、己を変えることだ。

つまり、社会復帰をして家族を養っていくには、すっかり様変わりしてしまった世界に順応すべく、自分を変えるのが、変えられようのない世界に抗うより近道ということである。

 

孫氏も言っているではないか。「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」と。

賢く戦うには、これから戦う世界のことを知らなければ始まらないのだ。

 

そう覚悟が定まると、気が狂うのではないかと思うほどの不安がやわらいだ。

 

しかし別の問題が残っている。

それは、どうやって「彼」、つまりこれから戦う社会のことを知るかということだ。

 

教えを請う最適な人物になれるのは、いま私に最も寄り添ってくれている妻しか見つからない。

 

だが、妻にどうやって教えを請えばいいのか。 

その正解がわからず、私はまた唸り声をあげる。

 

目が覚めたら、全く知らない世界におかれて困っているので、この世界のことを教えてほしいと正直に打ち明ければいいのか。 

それとも、頭がおかしくなったふりをして、リハビリのなかで、いろんなことを教えてもらえるよう仕向けるのがいいのか。

 

とっさに思いついた、そのふたつの選択肢のどちらを選べばいいのか、私の心は再び激しく揺れ動く。

 

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