会社がない!

目が覚めたら、会社がなくなっていた。その世界は、幸せか不幸せか?

妻の爆弾発言

「オマエ、それを本気で言っているのか?」

家族のために必死に働いてきたのに、それを全否定されたようで、私の声は怒りで震えた。

 

「な、なに怒っているのよ」

私が鬼のような形相をしているのだろう。

恐怖で、妻の声も震えている。

 

しかし、私がなんで怒っているのかわかっていないようだ。

それがさらに私の怒りを増長させる。

 

「オレが休んでも、誰も困らないっていうのは、どういうことかと言っているんだ」

公共の場で大声をあげられないストレスを、強く拳を握ることに逃す。

これまでに聞いたことがないくらい大きな音で、指の関節がポキポキと鳴った。

 

「だって、職場でアナタの代わりになる人はいくらでもいるし、そんなに生活も困ることがないから…」

猛獣に睨まれた小動物のように、妻は身を縮める。

しかし言っていることは、火に油を注ぐような爆弾発言だ。

 

「な、なんだと…」

私の右の拳は、無意識のうちに妻の顔の高さまであがっていた。

妻に一度も暴力をふるったことはないが、その衝動を抑えられないくらい導火線についた火は加速し、今にも爆発しそうになったのだ。

 

「アナタのためを思って言ってるんじゃない…」

妻の声の震えはさらにひどくなり、それを抑えるように口元に手を当てると、すぐに大粒の涙が流れ出した。

 

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