会社がない!

目が覚めたら、会社がなくなっていた。その世界は、幸せか不幸せか?

狂った体内時計

「なによ。どうしたの?」

私が妻の肩を揺すると、妻はすぐに反応し、目をこすりながら不機嫌な声をあげた。

 

「どうしたの、って、それはこっちのセリフだ」私はホッとしながらも、妻の間抜けな返答にムッとした。「寝坊なんかしたことのないオマエが起きないから、何かあったかと心配したじゃないか」

 

「寝坊!」妻は寝ぼけ眼を見開き、慌てて時計に目を走らせた。「やだ、まだ6時半じゃない。驚かせないでよ」

 

「え!」

私は耳を疑った。

こいつ、やっぱりどこかおかしくなってしまったのか…。

 

「6時半だぞ」

私は置き時計を手にとり、妻の目の前に突きだした。

 

「そんなに近づけなくてもわかるわよ。6時半でしょ。それがどうしたの?」

 

「おい、オマエ、大丈夫か?」

さっきより、もっと大きな不安が私に打ち寄せた。

 

妻は、時計よりも正確な体内時計をもっていると家族から言われている。

しかしその妻が、私が会社に遅刻しそうになっているのになんとも思わない。

妻のカラダのどこかに狂いが生じているに違いない。

私の脳天に稲妻のような戦慄が走った。

 

前へ

次へ

最初から読む