会社がない!

目が覚めたら、会社がなくなっていた。その世界は、幸せか不幸せか?

第一章 悪夢の始まり?

オレの家が!

「ねぇ、アナタ大丈夫?」 会社もコンビニもマイカーも認知できなくなってしまった妻は、心細そうなか弱い声をあげる。 「心配するな。すぐに朝メシを買ってくるから、オマエは服を着替えてこの部屋で待っていろ。いいか、朝食なんてつくらなくていいからな…

加速する病

会社へ行くのは撤回だ! カイシャの意味すらわからなくなってしまった妻を置いて、会社にいくわけにはいかない。 「オマエも外出着に着替えろ」 私は脱いだパジャマをハンガーに掛けながら妻に言った。 「なんで、そんなことをしなくっちゃいけないのよ」 「…

やっぱりおかしい

返答にこまって泳ぐ私の視線は、妻の枕元におかれた雑誌に止まった。 それは、園芸に関する雑誌だった。 その雑誌を見て、妻がバラを漢字でかけた理由がわかった。 その理由を順を追って説明すると、 妻は園芸に趣味をもった(今まで知らなかったが)→それで…

認めたくない負け

「なに、いつまで眺めているのよ」 呆然と、妻の書いた字を見つめていると、心配げに問いかける妻の声が聞こえてきた。 「えっ、おお…」 我に返った私は、妻に対して行ったテストの結果を答えなければならないと思って焦る。 妻の書いたバラの漢字が合ってい…

驚異の急成長

「なぁ〜んだ。アナタが書いてほしかったバラって、アレなの」妻は鉢植えのバラを一瞥して、つまらなそうに笑った。「なぁ〜んか、平凡」 「平凡とは、なんだ」私はムッとして答える。「バラといったら、ふつうアレだろ」 バラをイメージしろと言われれば、…

砕け散る自信

「はい、これでいい?」 妻は迷いもなく、私が求めたバラという字を書きあげると、それを私に見せた。 「ハハハ、何だよその字、チルじゃないか」 妻が予想とかけ離れすぎた字を書いたので、私はふきだしてしまった。 やっぱり、おかしいのは妻のほうだった…

おかしいのはどっち?

頭がおかしくなったのは、オレなのか、カミさんなのか…。 自分の頭脳が正常であることを確認するために、私は暗算をしてみる。 ①55+23=78 ②76+88=164 ③92−34=58 ④7✕8=56 ⑤8✕6+22===70 5問目は手間取ったが、一応、計算能力(理数系じゃない)…

打ち砕かれていく希望

「病院に行こう」 私は妻のただならぬ狂いに驚愕し、一刻も早く医者に診せなければいけないと気持ちが急いた。 「なんで、アタシが病院に行かなければいけないのよ」 妻は、理解不能な抽象画を見るような目で私をにらんだ。 妻はむしろ、私のほうがおかしく…

狂った体内時計

「なによ。どうしたの?」 私が妻の肩を揺すると、妻はすぐに反応し、目をこすりながら不機嫌な声をあげた。 「どうしたの、って、それはこっちのセリフだ」私はホッとしながらも、妻の間抜けな返答にムッとした。「寝坊なんかしたことのないオマエが起きな…

妻の異変

私の起床時刻を30分も過ぎているのに、こちらに背を向けて寝ている妻を見て、私はかなり動揺した。 私と結婚して16年、妻は一度も朝寝坊をしたことはない。 インフルエンザで39℃の高熱がでてても、前の晩に風呂場でこけて肋骨にヒビがはいったときでも、私の…

遅刻する!

休日の朝は、私は非常に早起きだ。 驚くなかれ、起床時刻は午前4時。 休日前の夜は、午前様をまわったころまで、だらだらと深夜番組(楽しみにしているのは、『ドキュメント72時間』と『探偵ナイトスクープ』)を観ているのだから、睡眠時間は3時間ぐらい…